予防歯科

予防歯科(定期検診)は虫歯や歯周病などの歯の症状を予防・改善します。具体的にどのようなことを行なうのか、吹田市で開院25年、のべ約4万5千人が来院したというまつもと歯科の松本正洋先生にお聞きしました。

予防歯科イメージ

まつもと歯科の予防歯科(定期検診)

全研本社ヘルスケア編集部

先生の歯科医院では、色々な治療はもちろんですが、定期検診も重視していると伺いました。具体的に、定期検診ではどんなことをしてらっしゃるのでしょうか?

松本正洋先生

当院の定期検診の流れは、具体的に2つあります。最初に行うのがSMTと呼ばれる検査。一般に唾液検査と呼ばれます。次に行うのが、PMTCと呼ばれる処置。PMTCとは歯のクリーニングのことです。順番に解説していきますね。

唾液検査(SMT)について

唾液検査(SMT)とは、唾液に含まれている菌の種類や数を確認することで、口腔内の健康状態を確認する検査のこと。唾液を検査機器にセットすれば、5分程度で口腔内の健康状態を把握することができます。

唾液検査(SMT)の手順

唾液検査(SMT)は、一般に以下の要領で行われます。

  • 少量の水で口の中を約10秒すすぎ、紙コップに吐き出します。
  • 唾液が混じった紙コップの水を、専用の機械にセットします。
  • 医師から測定結果の説明、および各種のアドバイスを受けます。

唾液検査(SMT)で分かる項目に関して

唾液検査(SMT)で分かるのは、以下の6項目です。

虫歯菌の量

口腔内に存在する虫歯菌の量を推定します。多ければ多いほど、当然ながら虫歯になる確率が高くなります。

酸性度

酸性度の高い唾液は、歯のエナメル質を溶かして虫歯を誘発します。口腔内が酸性に傾く主な要因は、虫歯菌の存在。酸性度が高ければ高いほど、虫歯になる可能性も高まることになります。

緩衝能(口内のpH)

酸性度の検査と同様の目的で行われます。

白血球の量

歯茎に炎症が生じると、口腔内の白血球の数が増加します。すなわち、白血球の量を確認することで、目には見えない歯肉炎の有無を推定することができます。

タンパク質の量

歯や歯茎に細菌が増えてくると唾液中のタンパク質が増加。その一部はアンモニアとなり、口臭の原因となります。

アンモニアの存在

口臭の原因の一つであるアンモニアが唾液内に存在していないかどうか、チェックを行います。

歯のクリーニング(PMTC)について

唾液検査(SMT)の結果に応じ、歯科衛生士が行う専門的なクリーニング処置のことをPMTCと言います。PMTCでは、普段のブラッシングでは除去できない細かい場所の歯垢除去が可能。あわせて、歯石も綺麗に落とすことができます。なお、処置は柔らかい機器を使用して行うため、麻酔をしなくても痛みはほとんどありません。

歯のクリーニング(PMTC)の手順

歯のクリーニング(PMTC)は、次の要領で行われます。

  • 歯や歯茎の状態を、改めて目視で確認。歯石があれば除去します。
  • 歯の表面、歯間、歯と歯茎の間に研磨ペーストを塗布します。
  • ペーストを塗布した部分を、専用の機械で研磨・清掃します。
  • 歯の状態に応じ、フッ素を塗布します。

歯のクリーニング(PMTC)を受けることのメリット

歯のクリーニング(PMTC)を受けることにはたくさんのメリットがありますが、それらのうち、特に大きなメリットと言えるのが次の4点です。

歯周病の予防・改善

普段のブラッシングでは除去できない歯垢や歯石を取り除くことで、歯周病の予防・改善効果が期待できます。

虫歯の予防

虫歯菌は、主に歯垢の中に存在しています。クリーニングを受けることで歯垢をほとんど除去することができるため、虫歯の予防効果を得られます。

歯の色素除去

コーヒーや煙草などの影響で染みついた色素が、クリーニングを受けることで概ね除去されます。

歯質の強化

フッ素の塗布を通じ、歯の再石灰化を促進。歯質の強化へとつがなります。

全研本社ヘルスケア編集部

ありがとうございました。HPを拝見したところ、「エアフロープロフィラキシスマスター」・「位相差額顕微鏡」といった耳慣れない言葉があったのですが、詳しくお伺いしてもよろしいですか?

松本正洋先生

これら二つは他院ではあまり多く導入していないので、耳慣れないのは無理もないかもしれません。わかりました。解説していきます。

エアフロープロフィラキシスマスターについて

エアフロープロフィラキシスマスターとは、GBT(Guided Biofilm Therapy)と呼ばれる新しい予防歯科の発想に基づいて開発された機器のこと。歯科衛生士による一度の処置で、バイオフィルム(歯垢などのかたまり)、ステイン(歯に沈着した色素)、早期歯石を除去し、かつ歯の表面を検査することができる画期的な歯科用機器です。

GBTとは

GBTとは、世界的な歯科研究機関であるスイス・デンタル・アカデミー(SDA)が提供している、まったく新しい歯周病の予防法・治療法のこと。歯周病のみならず、虫歯も同時に予防できるとして、現在、世界各国の歯科医療現場かで実践されている考え方です。

虫歯や歯周病の原因は、バイオフィルムと呼ばれる細菌のかたまり。このかたまりの中に、虫歯を誘発する複数の菌も潜んでいます。歯垢もバイオフィルムの一種です。

GBTでは、まず専用の薬剤を用い、歯や歯茎のバイオフィルムを紫色に変色させます。この変色を患者自身に客観視してもらいながら、医師や歯科衛生士は、予防歯科の重要性を患者に説明。その後、エアフローを用いてバイオフィルム、ステイン、早期歯石を除去します。のち、バイオフィルムが完全に除去された口腔内を、改めて患者自身に視認してもらい、定期検診の重要性を理解してもらいます。

位相差額顕微鏡について

位相差顕微鏡(いそうさけんびきょう)とは、口腔内に存在している細菌や微生物を詳細に確認できる顕微鏡のこと。採取した歯垢を位相差顕微鏡で覗くことにより、虫歯菌の量をチェックします。

なお、口腔内には常に700種類程度の細菌が存在していますが、それらの細菌がすべて歯周病や虫歯の原因となるわけではありません。グラム陽性菌など、いわゆる善玉菌と呼ばれる細菌もたくさん存在しています。

これら多くの細菌の中に、「ポフィロモナスジンジバリス菌」「トレポネーマデンティコラ菌」「タンネレラフォーサイセンシス菌」、いずれかの菌が存在した場合には要注意。重度の歯周病を誘発する恐れがあるからです。歯周病のみならず、これらの細菌が血液から入り込んで体内を循環した場合、心臓や脳、肝臓、関節などの全身疾患にいたる恐れもあります。

全研本社ヘルスケア編集部

なるほど、まつもと先生が定期検診を非常に重視していることが、よく分かりました。ありがとうございました。

松本正洋先生

定期検診は、予防歯科という診療科の柱になるものです。日本では、体の健康診断は一般的になっているものの、歯の健康診断はまだ一般的ではありません。いつまでも健康的な歯を維持していけるよう、かならず定期検診を受けるようおすすめします。

予防歯科(定期検診)の必要性

全研本社ヘルスケア編集部

定期検診について詳しくお話を伺いましたが、そもそも予防歯科の視点は、なぜ必要なんでしょうか?もちろん虫歯や歯周病の予防に大切なことは分かるのですが、予防歯科の考え方を少し詳しく教えていただけますか?

松本正洋先生

長崎大学の新庄教授が行った研究なのですが、定期検診を受けていた方は、定期検診を受けていない方に比べて、80歳の時点で残存している歯が約5倍との報告があります。まず、この数字を聞けば、どんな方でも予防歯科の重要性を痛感するのではないでしょうか?

全研本社ヘルスケア編集部

5倍ですか!?それは大きな差ですね。定期検診を受けた方の歯が20本残っているとすれば、受けていない方の歯は4本しか残っていないという計算ですね?驚きの数字です。

松本正洋先生

そうですよね。そもそも、日本人は海外の方々に比べて、歯の定期検診を重視しない傾向があります。日本人の定期検診の受診率は10%未満ですが、たとえば歯を大切にすることで有名なスウェーデンでは、定期検診の受診率が約80%です。それが、80歳の時点での歯の残存本数の違いにも現れていますね。

80歳での残存本数を基準とすると、スウェーデンの方の平均が20本です。アメリカ人の方は17本程度です。それに対して日本人は、なんと12本です。

全研本社ヘルスケア編集部

なるほど。日本人は爪楊枝の文化があるから歯が丈夫だ、と聞いたことがあるんですが、それは昔の話なんですね。私も定期健診を必ず受けるようにします。

松本正洋先生

そうですね。現代の日本人は、もっと予防歯科の考え方を大切にすべきでしょうね。1989年から、当時の厚生省と日本歯科医師会が連携して、「8020運動」というテーマを啓蒙し続けています。80歳になっても20本の歯を残せるようにしよう、という運動です。いつまでも健康な歯で美味しいものを食べるために、定期検診はぜったいに受けるようにしてください。

定期検診をしない場合の歯への影響は?

全研本社ヘルスケア編集部

もし定期検診を受けないでいると、虫歯や歯周病になるリスクが高まるのは分かります。それ以外にも、何か悪い影響はあるのでしょうか?

松本正洋先生

そうですね。歯が悪くなっていくリスクが第一ですが、それ以外にも、定期検診を受けないことで、色々なリスクが生じます。いくつかかいつまんで説明しますね。

心筋梗塞

一つ目は心筋梗塞です。アメリカのバッファロー大学の研究によると、歯周病の診断を受けた方の心筋梗塞の発症リスクは、歯周病ではない方に比べて、約3倍になるそうです。

心筋梗塞を招く大きな要因として喫煙が有名ですが、1日20本を吸うヘビースモーカーであっても、非喫煙者に比べると心筋梗塞の発症率は約2倍です。単純に考えて、喫煙よりも歯周病のほうが怖い、ということになりますね。

脳梗塞

2つ目の脳梗塞は、定期検診を受けずに歯周病を放置していると、リスクが上がると言われています。歯周病菌が血管に入ると、血液に乗って菌が首から脳に入り込むんですね。その後、脳の毛細血管の中で菌が血栓を作って、脳梗塞にいたることがあるんですよ。

糖尿病

続いて糖尿病の悪化です。歯周病菌はインスリンの効果を奪う働きがあるので、血糖値が上がりやすくなるんですよね。糖尿病でインスリン注射を受けている方が歯周病になると、薬が効きにくくなって症状が悪化するかもしれません。

全身の老化

最後は全身の老化ですね。歯周病菌は毒性が強いので、血液に乗ってしまうと全身の老化を早めてしまいます。老化が早まるということは、あらゆる病気のリスクを高めるということです。歯周病が遠因となって健康を害することのないよう、しっかりと定期検診を受けて欲しいものです。

全研本社ヘルスケア編集部

心筋梗塞が3倍というのは恐ろしい数値ですね。脳梗塞は心筋梗塞と同じ循環器系ですから、理屈を聞けば何となくイメージできます。

絶対検診は受けたいと思います。

吹田市で歯のクリーニングを受ける場合の価格相場

全研本社ヘルスケア編集部

定期検診を受けないことのリスクが、よく分かりました。ちなみになんですが、吹田市で定期検診を受ける場合、費用の相場はどのくらいになるのでしょう?

松本正洋先生

定期検診には、さきほど説明したとおり、唾液検査と歯のクリーニングの二段階の流れがあります。唾液検査については、クリニックによって様々なやり方があるので、一概に相場を言うことはできません。ちなみに当院では3,000円程度です。3ヶ月に一度の定期検診を推奨しているので、年間で12,000円ほどですね。

全研本社ヘルスケア編集部

1回3,000円ですか。意外に安いんですね。その程度の出費で歯も体も健康が守られるならば、とても安いと思います。では、クリーニングの相場はいくらくらいなのでしょう?

松本正洋先生

予防歯科を目的にクリーニングを受ける場合、保険は適用されないので、だいたい10,000円前後と考えてください。ただし、虫歯や歯周病の治療の一環としてクリーニングを行う場合には保険適用となります。その場合の費用は2,500~4,000円くらいですね。クリーニングも唾液検査と同じように、クリニックによって料金にバラつきがあります。事前にきちんと料金を確認しておいたほうがいいでしょう。

全研本社ヘルスケア編集部

予想よりも料金が安いことが分かりました。ありがとうございました。

まつもと歯科総院長・松本正洋先生より

松本先生の画像

松本 正洋歯科医・医療法人真摯会理事長

「痛くなるまで歯医者に行かない」とより痛い目にあってしまいます。

そう考えると、少し「定期健診に通うか」という気にはなりませんか?(笑)。お口の中に何も問題がなければ定期健診は3ヶ月に1回でいいので、 吹田市内の歯科に足を伸ばしていただきたいなと思います。

「歯医者が嫌だ」と感じさせてしまう原因は、我々歯科医院にあると思います。当院では「無痛治療」のために様々な工夫をしています。保険でお使いいただける笑気麻酔の導入、注射の麻酔では極細の針を使用し、痛点をよけて刺す…など、如何に痛みを無くせるか、つねに模索しています。

歯医者に苦手意識がある方は、ぜひ一度ご来院ください。ビックリさせてみせます。


まつもと歯科

所在地
大阪府吹田市山田東2-1-1
アクセス
阪急千里線「山田駅」より車で9分
※駐車場26台完備
電話番号
06-6878-4500

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サイト監修・松本先生(まつもと歯科)